米中を中心に、極超音速兵器や量子技術といった戦場で利用される先端技術の研究が盛んだ。さらに高度な無人機の開発も進み、有人機と行動することで戦略の幅も大きく広がる。人間の処理負担軽減や、低コストかつ人命リスクを抑えた運用が出来るなどの利点も併せ持つ。
今後技術の中心となるのが人工知能(AI)だ。主に軍事作戦における人間の意思決定の補助、情報処理能力向上、あるいはサイバー分野での利用が想定される。米中に加えロシアではAI搭載の自律型無人機の開発も進む。他方、AIの軍事利用には世界で慎重な声があがる。人間の関与なしに殺傷能力を持つ兵器が自律的に行動した場合にどうすべきか。具体的な規制や罰則のコンセンサスは取れていない。
しかし米中対立の下、今後の日本の安全保障を見据えるにあたり、AIの軍事利用を巡る動きと影響を考慮しないわけにはいかない。日米同盟のあり方や、中国の戦略を読み解くにも新たな価値観が求められよう。気鋭の専門家が、日本のとるべき道を提言する。
米中対立が先鋭化する中、先端技術の動向に注目が集まる。米国でも人工知能(AI)をはじめとする先端技術を軍事部門に取り込むための研究が加速している。
AIの戦略的な利用が加速度的に進められるようになったのは、2014年に発表された「国防イノベーションイニシアティブ」、そしてそれを受けて展開された「第三次オフセット戦略」でのことである。そこでは、AIやビッグデータの活用が「人と機械の協働」を実現し、さらにサイバーセキュリティーや電子戦、ミサイル防衛といった分野において迅速かつ良質な意思決定を可能にする方法として注目されるようになった。
>>続きを読む