【語り継ぎたい天皇の和歌】秋にあえて「土」という独自の視点





 


 「天高く馬肥ゆる秋」と称されるように、秋は澄んだ空が高く感じられます。多くの人々が古来、秋の空の高さや美しさを讃えてきました。けれども、第90代亀山天皇はあえて、空のみならず「土の色にぞ秋もみえける」と独創的に表現しています。


 「あらかねの」は「土」を導く「枕詞」です。「天を吹きわたる風が空にあらわれる一方で、実は土の色にも秋の気配が感じられているものだなあ」という歌意です。つい空を見上げたくなる季節に、あえて土の色や大地の表情に心を寄せる亀山天皇。独自の視点と豊かな感受性を感じさせてくれる一首です。


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