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Wedge創刊30周年記念インタビュー・新時代に挑む30人
最期まで自宅で暮らす幸せを支援する医師・佐々木 淳
超高齢社会における医療者の役割とは?
2019/08/24
稲泉 連 (ノンフィクション作家)
2025年には5人に1人が75歳以上となる。自宅で最期を迎える時代を見据え、佐々木は開業医や介護施設を巻き込み、在宅医療というインフラづくりに取り組んでいる。
佐々木淳が理事長を務める悠翔会は、首都圏を中心に在宅医療を展開する医療法人だ。日中に担当する患者は約4000人、休日夜間を合わせると7000人の患者に24時間体制で在宅医療を提供している。
現在の東京の後期高齢者の数は23区だけで100万人、首都圏ではこれからの20年間でその数が2倍以上に増加すると言われるが、そのなかで彼は次のような問題意識を持って仕事を続けてきた。
「誰もが自宅で亡くなる時代がやってくる。要介護者が急増する時期までに、どんな人でも穏やかに家で暮らし続けられる在宅医療の体制を作りたいんです」
佐々木が悠翔会を設立したのは2006年。当時、アルバイトで勤務していた在宅医療のクリニックで、難病や不治の障害を抱えた多くの患者と出会ったのがそのきっかけだったという。例えば彼が今でも印象深く語るのが、人工呼吸器と胃ろうを付けて暮らすALS(筋萎縮性側索硬化症)の女性患者のことだ。