【語り継ぎたい天皇の和歌】世の中の幸せをひたすら祈る





 


 「天皇の和歌」を語る時に欠かすことのできないのが、第95代花園天皇です。905(延喜5)年の『古今和歌集』から、1439(永享11)年の『新続古今和歌集』までの534年間に日本では21代の勅撰和歌集(天皇や上皇の命によって編纂された歌集)が編まれています。


 花園天皇はこの17番目の勅撰和歌集『風雅和歌集』の監修者です。そして、監修者として知られるばかりか、真名序と仮名序もお書きになられています。天皇(もしくは上皇、法皇)みずからが真名序と仮名序を書かれているのはとても稀有なケースです。


 鎌倉末期、政治が大混迷する中で即位された花園天皇は、仮名序に「正しき道、古の道、末の世に絶えずして、人のまどひをすくはんが為」と記されました。古来、連綿と続く和歌の道(歌道)に伝え記されたものから、人としてのありかたや尊ぶべきもの、失ってはならないものを常に学び得ようとされていました。


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