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オトナの教養 週末の一冊
ベストセラー『ファクトフルネス』、10の本能が引き起こすとんでもない「勘違い」
『FACTFULNESS』
2019/06/28
東嶋和子 (科学ジャーナリスト・筑波大学非常勤講師)
質問1「現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を修了するでしょう?」
A 20%
B 40%
C 60%
質問2「世界で最も多くの人が住んでいるのはどこでしょう?」
A 低所得国
B 中所得国
C 高所得国
A 20%
B 40%
C 60%
質問2「世界で最も多くの人が住んでいるのはどこでしょう?」
A 低所得国
B 中所得国
C 高所得国
本書の冒頭、このような「世界の事実に関する13問のクイズ」がある。貧困、教育、環境、エネルギー、人口問題など、現代の世界にまつわる質問だ。私もやってみた。自信満々に答えを書いたものの、答え合わせをすると、意外にも(!)間違いがいくつかある。
著者が14カ国で1万2000人に行った調査では、地球温暖化に関する質問(正解率86%)を除けば、平均正解数は12問中2問だった。全問不正解がなんと15%もいた。
そもそも3択なのだから、チンパンジーがランダムに答えても正解率は33%に近くなるはず。つまり12問中だいたい4問は正解する。「チンパンジーは適当にバナナを拾うだけで、高学歴の人たちに勝てる」というわけだ。