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【関西の力】ハイテク素材(3)海水を真水に変える“魔法の膜” 「JFKの夢」かなえた東洋紡の技術融合 


山口県岩国市の工場で製造される東洋紡の逆浸透膜。中東の海水を模した塩水を流して全量検査を徹底している


 


 「海水から新鮮な水を安価に取り出せるようになれば、他のあらゆる科学的業績をしのぐ偉業となる」。1961年に就任した米国のケネディ大統領(当時)が、演説で夢を語った。


「水が出たぞ。真水だ」


 地球上には約14億立方キロメートルの水が存在するが、利用可能な淡水はわずか0・8%にすぎない。約97%ある海水が利用できれば世界の水不足を解消できる-。


 「水が出たぞ。真水だ」


 紅海に臨むサウジアラビア・ジッダで89年、海水淡水化施設が稼働。海からくみ上げた「使える水」に関係者は笑顔を見せた。


 この施設の1日の造水量は当時世界最大規模の5万6800トン。23万人分の生活用水に相当する。海水を濾過(ろか)し真水を取り出すのに最も重要な部材「逆浸透膜」は東洋紡の繊維製品だ。


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