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WEDGE REPORT
米大統領選を前に中国と〝急接近〟するイランの真意
中国との間で進む「協力計画」
2020/08/25
角 潤一 (在イラン日本国大使館 一等書記官)
「嘘つきに死を!」
イラン・ザリーフ外相に強烈なヤジが飛び、演説はたびたび中断した。7月5日に開かれた国会での外交方針説明での出来事だ。特に槍玉にあげられたのが中国との関係だった。
発端は、6月21日にロウハニ大統領が閣議で承認した、中国との間の25年間に及ぶ包括的な協力に関する計画だった。この計画について国内外のメディアは、イランは中国から4000億ドル(約43兆円)相当の投資を受ける見返りとして、ペルシャ湾に浮かぶキーシュ島を25年間リースする、イラン産原油を割引価格で売却する、中国施設を警備する目的で中国人民解放軍5000人がイランに駐屯することを許可するなどが合意に含まれると報じたのだ。
「国民には何も知らされていない!」とアフマディネジャド前大統領が噛みつき、国民の間でも、「25年間も中国に隷属するのか?」、「新たな植民地政策である中国の一帯一路計画にイランが飲み込まれてしまう」といった懸念の声が上がった。