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Wedge創刊30周年記念インタビュー・新時代に挑む30人
おとぎ噺で人工知能の〝素顔〟を伝える 川添 愛・小説家
2019/09/30
Wedge編集部
生活を便利にする人工知能。だがその仕組みを私たちはどこまで知っているだろうか?人工知能、特に「言葉の認識」について、その難しさを伝えようとする小説家がいる。
「人工知能(AI)の基礎となる情報科学や数学は、専門家以外から見れば魔術的でミステリアスな分野です。物語を通じ、噛(か)み砕いて世に伝えていければ」と、AIをテーマに据えた小説を出版した川添愛は語る。
元々は大学で文系の言語学を学んでいた。博士課程の最中、国立情報学研究所で研究アシスタントとして働き始めたのが転機となり、理系である自然言語処理の分野に飛び込む。後に特任准教授の肩書を得て「曖昧な人の言葉を機械にどう正しく認識させるか」に取り組むようになった。
「たとえば、『~じゃない』にも三つの意味があります。『~ではない』という否定。『~だ』という断定。『~ではないか』という推量。私たち人間はそういった曖昧性をほぼ無意識に処理して〝正解〟を選んでいますが、現時点のAIに同じことをさせるには、膨大なデータと手間が必要です」