これでいいのか?戦後日本「より良き日本を取り戻そう」

鎮痛薬オピオイド危機に見るアメリカ社会の病理と深層







(iStock.com/flySnow/Purestock)


 


 本来鎮痛薬として処方されてきた麻薬性オピオイドopioidがアメリカ中に蔓延、その濫用による死者数が初めて交通事故死を上回り1日平均130人以上という深刻な社会問題となっている。そしてその背景にあるのが、日常生活上の肩こり、腰痛などの訴えだけにとどまらず、し烈な競争社会ゆえの「不安とストレス」に起因する心因性麻薬依存症だ。


 CNNテレビは去る8月28日に放映した“オピオイド危機”関連番組の中で、連邦保健・人的サービス省(HHS)がまとめた公式データとして「鎮痛薬オピオイドの濫用により2017年1年間に170万人が精神障害を引き起こし、そのうち4万7000人が死亡した」と報じた。さらに、同年のオピオイド乱用者は1140万人に達したという。



(Moussa81/gettyimages)


 


 これまで慢性の痛み、手術後の痛み、抗がん剤治療による痛みなどの際に投与される鎮痛薬としては、モルヒネ、フェンタニルFentanylなどが広く知られ、わが国でも麻酔手術の際にも投与されてきた。本来、鎮痛効果のある麻薬性化合物の総称がオピオイドであり、「オピウム(アヘン)類縁物」を意味する。ただ以前までは、簡単に入手できる「常備薬」ではなく、主として専門医や病院での使用が一般的だった。


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