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Wedge REPORT
「90歳を過ぎたら〝死の規制緩和〟を」山折哲雄氏インタビュー
死はいつからタブーになったのか?
2019/08/31
鵜飼秀徳 (ジャーナリスト兼僧侶)
鵜飼:日本人の死を取り巻く環境が大きく変化をしてきています。たとえば昔は自宅で親族らによって看取られ、地域の人々の手によって手厚く葬られたものですが、今は病院や高齢者施設で死を迎えるのが大方です。ひとりで死に、その後の葬送も随分簡素になっています。できれば自宅で家族に見守られながら死んでいきたいと願っている人は多いですが、なかなか理想通りの最期になっていないのが実情です。こうした日本人の死をめぐる環境の変化を、山折さんはどう見ていらっしゃいますか。
山折:戦後75年間の死生観の変化の流れを見ると、二つの転機があります。
一つ目は、近代医学の進歩によって、生と死を明確に区分するようになったこと。もうひとつは、高齢化です。死を取り巻く環境があまりにも急激に変化してきており、死生観の根幹にひびが生じているように感じます。