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公立中学が挑む教育改革
失敗の蓄積が、今の自分の価値を生んでいる(澤円×工藤勇一)
公立中学が挑む教育改革(16)【特別対談-3(中編)】澤円氏(カリスマプレゼンテーター)×工藤勇一氏(千代田区立麹町中学校 校長)
2019/03/05
多田慎介 (ライター)
外資系大手IT企業の執行役員を務め、カリスマプレゼンテーターとしても知られる澤円氏。そして、学校現場において前例のない改革を次々と実行する工藤勇一氏。現在では多くの人に影響を与える立場となった2人だが、自身のキャリアを振り返るとき、それぞれが「失敗の連続だった」と語る。若手時代の澤氏と工藤氏が経験した葛藤とは――。
007シリーズの「Q」になりたかった
工藤:学生時代を振り返ると、教員志望の多い数学科と異なり、今でいうIT系の応用数学科という環境では周囲に教員を志望する人が始めはほとんどいませんでした。大手企業や研究職を志望する学生が多い中で、教員を目指す私は異端だったのかもしれません。
澤:工藤さんはなぜ教員の道を志したんですか?
工藤:「1人でやれる」ところに魅力を感じたんです。人を使うことも、人に使われることもない仕事だと。当時はそう思っていました。実際に教員になってからは、もちろん先輩によく聞くようになりましたが、基本的には1人で悶々と考えているタイプでしたね。「生徒にこれを話したらどうなるだろうか」「保護者にこう伝えたらどんな反応があるだろうか」とイメージし、アウトプットしていく中で、自分というものが見えてきたように思います。