【解答乱麻】学校は何のためにあるのか 教育評論家・石井昌浩





 学校は、本来担うべき役割を見失っているのではないか。学校教育をめぐる最近の動きを見ていると、そう感じる。

 もともと学校とは、子供たちが社会に出てから一人前に生きていけるように自律できる能力を身につける場として作られた施設である。

 さまざまな教育論があり、学校論があるが、学校が本来担う役割は、子供たちに自律の力を授けることだと思う。

 たとえいかに社会が変化しようとも、これからの子供たちに必要とされることは、自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断して行動し、よりよく問題を解決する力を身につけることである。

 それがいつの間にか、学校や家庭において大人が先回りしてあれこれ手厚く世話を焼き過ぎ、子供が自律する芽を摘んでしまっているのではないか。子供たちは必要な自律ができないまま、社会に送り出されている。