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【アイ・ラブ・ニューヨーク】ローカルニュースの危機 メディア“地元軽視”


米下院選の民主党予備選で勝利を収めた、移民のアレクサンドリア・オカシオ-コルテスさん=6月27日(AP)


 


 今夏、主要タブロイド紙のニューヨーク・デーリー・ニューズが経営難のため編集部門の従業員を半減するというニュースが話題となった。ネットメディアの台頭で新聞社の統廃合が進む米国では珍しくない話。ただ、地元の小さな事件事故も精力的に報じてきた同紙の大リストラは「ローカルニュースの危機」などと大々的に伝えられた。


 ニューヨークではここ数年、メディアの“地元軽視”が問題視されている。その影響は、中間選挙に向けた予備選の報道でもみられた。6月に下院選の民主党予備選で移民女性が党重鎮の現職に勝利するという大波乱を起こしたが、ニューヨーク・タイムズなど主要紙はそれまで彼女のことを一切報じていなかった。


 背景には各紙ともローカルニュースの担当記者やページ数を減らし、マンハッタンの中心部以外で起きる現象は、把握しにくくなっているという指摘がある。


 2年前の大統領選後も、メディア界から同じ反省がよく聞かれた。トランプ大統領の当選を予測できなかった要因の一つに、メディアの関心が都市部に集中したため、地方に住むトランプ支持者の声をしっかりつかめなかったのではないか、というものだ。


 メディアの「空白地帯」は大都市ニューヨークでも例外なく広がっている。(上塚真由)