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【ときを紡ぐ絵本 親子とともに】不思議さに気づき考える



 昭和43年に福音館書店の月刊誌に発表された安野光雅(あんの・みつまさ)さんの初めての絵本『ふしぎなえ』には、字がありません。絵の中の小人(こびと)たちを目で追ううちに、天地が逆転したり表裏がつながったりする不思議な世界に引き込まれます。


 幼稚園に勤務していた頃、この本を手にした子供たちは、いつもとは違う読み方をしました。


 本を縦にしたり、横にしたり、上から見下ろしたり、下から見上げたり、あるいは、自分が本の周りを回って近づいたり離れたりしながら、いろいろな角度から緻密(ちみつ)に描かれた絵を真剣なまなざしで、じっくりと見つめるのです。それは「読む」というよりも「探求する」と言った方が適切かもしれません。


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