これでいいのか?戦後日本「より良き日本を取り戻そう」

子どもの「言い間違い」は直さなくても大丈夫?






 生まれたばかりの赤ちゃんは何も話せないのに数年後には母語を話すことができるようになっている。大人になって外国語を勉強してもなかなか身につかないというのに。当たり前じゃないかと思われそうだが、よくよく考えるとすごく不思議なことだ。子どもはいかにして母語を身につけるのか、その過程で何が起こっているのか。またその際に大人たちはどう接していくことが大事なのか。『ちいさい言語学者の冒険――子どもに学ぶことばの秘密』(岩波書店)が話題の言語学者で、東京大学総合文化研究科・広瀬友紀教授に話を聞いた。



(Photographer Nick Measures/Moment Open/gettyimages)


――人はどういう過程を経て母語を獲得するのでしょうか?


広瀬:子どもにとって、母語との最初の出会いとは、親をはじめ、周りから耳に入ってくる言語音。様々な音に触れるものの、その情報の「さばき方」は最初からわかりません。つまりその言語で使われる音は何通りか、とか、微妙に違う範囲のどこからどこまでを同じ音とみなす、などの前提知識のことです。たとえば、今聞いた音は以前聞いた音と違うものとして分類すべきなのか、あるいは、「ちょっとだけ違った音」は同じ音のバリエーションや個人の癖、次の音の影響を受けて違う音に聞こえているけどあくまで分類としては同じなのか、などについて情報がないところから、自分で答えを見いだしていくのです。