(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)
岸田政権の林芳正外相が7月末、米国ワシントンの研究機関で日本の外交・戦略政策について演説した。インド太平洋での国際秩序を侵す中国に、日本がどう対応するかを主眼とするはずの演説だった。だが、林外相は中国への批判を徹底して避け、日中間の「協力」と「対話」を強調する対中融和の主唱に終始した。
日本学術会議の行方に注目が集まっている。梶田隆章会長が先月、民生・軍事両面で活用できる「デュアルユース(軍民両用)」の科学技術研究を容認する「歴史的な方針転換」を表明したが、直後に「容認していない」とする真逆の方針が一部で報じられたのだ。混乱の背景には、日本が直面する厳しい安全保障環境を受けて、現実路線への是正を求めるグループと、左翼的な思想をもとに声高に改革を拒む抵抗勢力の軋轢(あつれき)があるとの指摘がある。菅義偉政権以降、求められてきた「変革」は実行されるのか。岸田文雄政権の覚悟と手腕が試される。
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日本学術会議の〝真意・魂胆〟が注目されている。年間10億円もの血税が投入されながら、特定の政治勢力の影響力が強く、自国の防衛研究に過度なブレーキをかけてきたが、民生と軍事の「デュアルユース」(軍民両用)の先端技術研究を容認する見解を正式に表明したのだ。ただ、軍事研究を否定してきた過去の声明からの決別を拒否している報道もある。日本を取り巻く安全保障環境が激化するなか、学術会議は国民の生命と財産を守る立場に立つのか。「廃止・民営化」論も浮上するなか、生き残りのための目くらましを続けるのか。
通常国会はきょう15日、閉会する。ロシアのウクライナ侵攻を受けた、岸田文雄政権の外交・安全保障政策はほぼ理解できる。だが、国民生活や企業活動を痛め続けている「物価高への対策」は不十分というしかない。電力不足が懸念される夏を前に、岸田政権は家庭や企業に節電を要請するばかりで、「抜本的な供給力強化」にも乗り出していない。
安価で安定的な電力供給は、政府の責任である。日本維新の会は年明け以降、「安全性が確認できた原発については可能な限り速やかに再稼働すべきだ」と訴えてきた。電力不足や電気料金高騰で死者が出たり、企業経営が傾いたらどうするのか。岸田首相には国民生活を守るために、批判を受けても政策を断行する覚悟はないようだ。
愛知県で開かれた芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」実行委員会が、名古屋市に未払いの負担金約3380万円を支払うよう求めた訴訟で、請求通り全額の支払いを命じた名古屋地裁判決を不服として、河村たかし市長は30日、控訴したと明らかにした。
河村氏は記者会見で、芸術祭は公共事業ではないとした地裁判決を「暴論だ。明らかに誤っている」と批判。展示内容に「反日プロパガンダ」が含まれていたとしたうえで、「市民の気持ちを無視している。いくら裁判所に命じられても(負担金を)支出することはできない」と強調した。
芸術祭の企画展「表現の不自由展・その後」では、昭和天皇の肖像をバーナーで焼き、灰を足で踏み付けるような映像作品などが公開された。
昭和天皇に関する映像作品については、明治天皇の玄孫で、作家の竹田恒泰氏が2019年10月、夕刊フジへの緊急寄稿で、「昭和天皇は、憲法で『日本国』『日本国民統合』の象徴と規定される天皇であらせられた。天皇への侮辱は国家への侮辱であり、国旗を焼くパフォーマンスと同じ要素を持つ」などと指摘している。
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[>]最近は司法も怪しい
岸田政権下で安心なのか?
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愛知県で開かれた芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」実行委員会が、名古屋市に未払いの負担金約3380万円を支払うよう求めた訴訟の判決で、名古屋地裁は25日、請求通り全額の支払いを市側に命じた。激しい抗議を受けた、昭和天皇の写真をバーナーで焼き、灰を足で踏み付けるような映像作品について、地裁は「ハラスメントや違法なものだと断定できない」と指摘した。この判決は、市民や県民、国民の理解を得られるのか?
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[>]最近は特に日本の司法も怪しい
東京都武蔵野市の松下玲子市長が市議会に提出した、外国人にも住民投票権を認める条例案が13日の総務委員会で審議され、賛成多数で可決された。21日の本会議で最終的な採決が行われる。外国の勢力による「静かなる侵略(サイレント・インベージョン)」や、「経済安全保障」などが国政でも焦点となるなか、強引な採決を疑問視する声もある。
注目の条例案は、「市内に3カ月以上住む18歳以上」であれば、外国人も日本人と区別せずに住民投票できる。
総務委では、自民党会派や公明党は「外国人参政権の代替として利用されかねない」「市当局の周知不足」などを指摘し、反対に回った。
一方、立憲民主党系会派や共産党は賛成した。委員会採決は賛否が各3人の同数となり、最後は立憲民主党系の委員長の判断で可決された。
松下市長は「外国人も町の一員であり、住民投票に参画する資格がある」としている。
東京都武蔵野市の松下玲子市長が市議会に提出した、外国人にも住民投票権を認める条例案の審議が来週、ヤマ場を迎える。「外国人参政権の代替として利用されかねない」という懸念が広がるなか、13日の総務委員会で是非が議論される。こうしたなか、地元の保守系市民団体は「反対署名」を計約2万4000人分も集めたという。
注目の条例案は、「市内に3カ月以上住む18歳以上」であれば、外国人でも日本人と区別せずに住民投票ができる。
「衝撃的な発言」としか言い表すことができない。あの民主党政権を誕生させた鳩山由紀夫元首相が、中国の程永華元駐日大使との間で交わした発言だ。人民網日本語版(8月19日)で、次の発言が確認できる。
「過去一世紀を振り返ると、日本による不幸な侵略があった。そういったものをはじめ、中国は極めて大きな困難に直面したが、その度に、中国の共産党が人民とともに困難を克服してきた。そのことに対して最大限の敬意を表する」
「中国共産党は結党以来、巨大な人口、国土、そして民族的多様性を抱えた国家を一つにまとめ上げ、そのことによって人民の生活を向上させてきた。そのことは大変大きな立派な歴史的な事実であって、世界的にもっと評価をされるべきことではないか」
「慰安婦は性奴隷ではなかった」という学術論文を書いた米ハーバード大学ロースクールのジョン・マーク・ラムザイヤー教授に反対勢力から「学問の自由」への侵害といえる糾弾活動が続いている問題で、新たな展開だ。日本の歴史研究家らが16日、この問題に沈黙を続ける「日本学術会議」への監督責任がある菅義偉首相に公開意見書を送付するという。
民間団体「国際歴史論戦研究所」(杉原誠四郎会長)は、菅首相に送付する公開意見書で、日本学術会議に対してラムザイヤー論文への糾弾運動(論文撤回要求)への非難声明を出すよう指導し、運動に賛同・署名した会員の処分を行うよう指導、日本学術会議を国家機関として廃止(民営化)することを求めている。
日本学術会議に対しては、年間10億円もの税金投入を受けながら、特定の政治勢力の影響力が強く、自国の防衛研究にブレーキをかけてきたとされ、「廃止」「民営化」論が浮上している。
国際歴史論戦研究所で上席研究員兼理事を務める藤岡信勝氏は「日本学術会議の会員3人が、ラムザイヤー論文撤回要求運動に賛同・署名しており、『学問の自由』を踏みにじる行為である。見過ごすことはできない。日本学術会議が黙り込むのであれば、監督責任ある菅首相に現状を把握していただき、抜本的に日本学術会議を改革してほしい」と語った。
中国共産党は1日、創建100年の記念日を迎えた。北京で同日午前に記念式典を開き、習近平国家主席(党総書記)が重要演説を行う。中国当局による人権弾圧や軍事的覇権拡大に対し、米国中心の民主主義国から批判が高まるなか、中国メディアは各国首脳や要人からの祝賀メッセージを報じて対抗している。日本政界でも「親中派」とされる政治家らの祝辞が報じられたが、主要政党はどう対応したのか。夕刊フジが取材したところ、実に興味深い結果が得られた。
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「香港やチベットなどに対する人権侵害については甚だ遺憾だ。もろ手を挙げてお祝いする状況ではないが、北京政府(中国政府)とわが国は物理的に避けられない近い距離にある。その政権を担う政党に対する儀礼的なメッセージは用意している。私の名前で出す」
立憲民主党の枝野幸男代表は6月30日の記者会見で、こう語った。
「軍艦島」こと、長崎県・端島の暮らしを記録したNHKのドキュメンタリー作品「緑なき島」に対し、一般財団法人「産業遺産国民会議」と「真実の歴史を追求する端島島民の会」が「事実の改竄(かいざん)が行われた」と告発している問題で、自民党の青山繁晴参院議員が2日朝、ニッポン放送「飯田浩司のOK!Cozy up!」に生出演し、「疑惑という段階ではない」と言い切った。
NHKで1955年に放送された「緑なき島」には、炭坑内で作業員がふんどし一丁になり、這(は)いつくばるような低い坑道で作業するなど、端島炭坑の保安規定や元作業員らの証言と異なる映像が入っていた。
戦時中に長崎市の端島炭坑(通称・軍艦島)で朝鮮人労働者が虐待された証拠として韓国側が無関係な写真を取り上げている問題で、元島民らが誤りを指摘する冊子を作成したことが29日、分かった。代表的な3枚の写真を掲載し、「偽写真で世界を欺き、端島をおとしめることは許されない」と訴えている。
韓国政府や市民団体は、軍艦島などが平成27年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録される前後から「朝鮮半島出身者が奴隷のように働かされていた」などと、元島民らの証言に反する主張を展開している。
朝鮮人労働者が徴用された採炭現場の悲惨さを訴えようと、画像も活用している。狭い坑道に横たわった作業員の写真は、米ニューヨークの繁華街・タイムズスクエアに掲示された「軍艦島は地獄島」との意見広告や、釜山の「国立日帝強制動員歴史館」で朝鮮人が強制労働されたとする展示物などに使われた。