「中国に言論統制やネット検閲があること」は日本でもよく知られている。だが、具体的にどういう内容のものがどういう形で規制されるのか、にまで踏み込んだ記事はあまり目にすることがない。投稿した動画に対してどのような規制がかかり、どのように修正することで公開できたのか。中国各地を旅して中国の魅力を伝える活動をしている著者が、その具体的な顛末を紹介する。(JBpress)
前回「住居喪失者への差別的対応 生活保護制度は変われるか」は、生活保護制度における住居喪失者への差別的対応の実態と、改善に向けた動きを紹介した。しかし、問題はそう簡単ではない。正直なところ、住居喪失者はなるべくよそに行ってほしいのが、実施機関の本音である。
「責任をもつのはそっちだ」「いや、そちらだ」という実施責任をめぐる実施機関のバトルは日常茶飯事で、仲裁のために細かなルールがつくられてきた。ルールづくりは実施機関の都合が優先され、生活に困窮する人たちの人権を守るという視点は軽視されている。
「1日でも早く廃止にしたい」という行政の本音
足立区の検証報告では、担当者は『東京都生活保護運用事例集』(以下、「東京都運用事例集」という)の判断基準をもとに廃止処分をしたとされる。主な根拠とされたのが「問2-6」である。検証報告では、一部を省略する形で引用している。