(福島 香織:ジャーナリスト)
私はもともと北京冬季五輪は専制国家のプロパガンダに過ぎないと思っており、外交的ボイコットを支持している。だが、日本選手はじめ世界各国のアスリートたちが4年の研鑽の成果を競い合う貴重な機会であり、楽しみにしているファンも多くいるであろうから、あまり大声で五輪開催自体をこき下ろすのは野暮だと思っていた。
米国のラーム・エマニュエル新駐日大使が存在感を発揮している。先月23日の着任以降、岸田文雄首相や林芳正外相、岸信夫防衛相らと次々に会談し、ジョー・バイデン政権の意向や日米同盟のあり方を明確に伝えているのだ。バラク・オバマ政権で大統領首席補佐官に就くなど民主党政権で要職を歴任し、「バイデン大統領に近く、直接話せる関係」とされる大物剛腕大使。ジャーナリストの長谷川幸洋氏は、エマニュエル氏が今週初め、ツイッターで発信した動画を見て、「岸田政権への警告に違いない」と喝破した。
北京冬季五輪で選手らが中国に持ち込んだスマホの情報が、諜報活動などで抜き取られる危険性が懸念されている。日本政府は帰国時の航空機内で公式アプリ「MY2022」の削除を徹底し、帰国後も同意の上で専門家の検査を行うという。ただ、欧米各国に比べると対応は後手後手というしかない。
「日本選手団の情報セキュリティーの確保に万全を期したい」
松野博一官房長官は9日の記者会見で、こう語った。
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[>]ピンボケ狢政権
国防もピンボケ、危機管理認識●で?
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北京冬季オリンピックを開催している中国は、海外からの選手やスタッフにも徹底的な感染対策を強いている。ここまでの中国による〝ゼロコロナ〟対策を支えているのが新型コロナ感染拡大前から政府によって進められていた「デジタル監視社会」である。デジタルによるデータ連携をコロナ禍で急速に発展させて感染対策の管理を成し遂げた。
「デジタル化」「データ活用」が官民ともに叫ばれている中で、日本は中国のコロナ対策から良きも悪きもどう学ぶべきなのか。「デジタルデータの活用は、世界的に進めていかなければならないこと。それでも、政府をはじめとした公権力が自由に使うことが良いのかを問われ続ける社会でなければならない」。『中国「コロナ封じ」の虚実 デジタル監視は14億人を統制できるか』を上梓したジャーナリストの高口康太氏にインタビューした。