(城郭・戦国史研究家:西股 総生)
◉鎌倉殿の時代(1)頼朝を取り巻く人々PART1
(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68307)
◉鎌倉殿の時代(2)武士とは何者か?
(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68308)
◉鎌倉殿の時代(3)院政とは(前編)
(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68310)
院が朝廷に君臨できる理由
(前編から)荘園の乱立による皇室財政の窮乏に直面した朝廷は、たびたび荘園整理令を出しました。手続きに疑問点のある荘園の認可を取り消して、国庫収入の回復を図ろうとしたのです。でも、天皇がいくら意気込んでも、実際に許認可を司る政治家(=貴族)たちが、荘園の既得権益層なのですから、うまくゆくはずがありません。
こうして、荘園整理令がなかなか効果をあげない中で皇位についたのが、白河天皇です。彼は、逆転の発想で問題を解決する方向に踏み出しました。貴族たちが、法の網の目をかいくぐり、抜け道をさがして資産形成にはげむのなら、自分(天皇家)も同じことをすればよいのだ、と。