見た目もごちそうのうちというけれど冬の料理はなんとも華やか。新年を寿(ことほ)ぐ心づくしの3品が並んだ。
ぱっと目を引くのは先付けの器。鶴が羽を広げ、悠然と飛翔(ひしょう)する姿をかたどった逸品だ。そこに彩りよく盛り付けられているのは、縁起物の蒸しアワビにかす漬けの数の子である。いずれも高級食材で知られ、長寿、子孫繁栄といったいわれがある。
緑と赤の対比がきれいな菜の花のサーモン巻きに、オレンジ色のからすみも白地の器によく映えて鮮やか。出回り始めた菜の花はほろ苦さが春の訪れを教えてくれる。白い花のような一片は、長芋のワサビ漬けを雪の結晶に見立てたもの。「雪輪」というデザイン化された意匠で、一品一品に細やかな気配りがあった。