森喜朗前会長の性差別発言でミソがついた東京五輪(写真:山内晴也/アフロ)

岩田 太郎(在米ジャーナリスト)

 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長が2月に、ジェンダーに関する不用意な発言により短期間で辞任に追い込まれた。昭和時代さながらに「子孫繁栄がもたらす持続性」を信奉する森氏を「キャンセル」して勢いに乗るジェンダー論者たちは、政府や企業など日本のあらゆる組織における意思決定の場で、女性の割合を強制的に約半数近くまで引き上げるクオータ制を導入すべく要求を強めている。

 だが、本連載の第1回第2回で見たように、クオータ制や男女平等の理由付けは、「日本が国際社会で認められるために必要だ。なぜなら日本は国際社会で認められなければならないからだ」「男女平等は正しい、なぜなら男女平等は正しいからだ」など論点ずらしの循環論法に基づいている。さらに、「多様性」「寛容」「包摂」を謳いながら、非西洋・日本の価値観や制度を「普遍的」な西洋を至上とする国際主義思想で否定するものだ。

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