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 2月中旬米国が寒波に来襲された際、テキサス州では卸電力価格が通常の数百倍に上昇したことから、卸価格連動型小売料金を選択していた消費者の電気料金が1週間100万円になった(『なぜテキサス州の家庭では1週間の電気料金が100万円になるのか? テキサス州の電力自由化市場の問題を考える』)。代表的な家庭では1週間の電気料金が通常の4年分以上に相当する金額になったわけだ。電力価格高騰は誰の責任なのか、州関係者の間では責任の押し付け合いもあったが、市場設計にも欠陥があった。

 卸価格に連動しない固定された電気料金体系を選択していた消費者も、これから小売り事業者が負担した上昇分を請求される可能性が高い。卸電力を購入していたため巨額の請求を受けたテキサス州最大の電力協同組合は、組合員でもある消費者に電気料金高騰の付けを回すことを避けるため日本の会社更生法に相当するチャプター11を申請した。巨額の卸料金の支払いを迫られる小売事業者の中から追従する動きもあるかもしれない。

 卸価格の上昇による影響を分析した州公共事業委員会(PUC)の監視機関によると、PUCは行うべきでなかった卸価格の上昇を指示し、これにより電力小売事業者が支払う金額は160億ドル(1.8兆円)増えたとされている。この金額の減免をPUCが検討したが、減免を行わないことになった。州副知事は減免をすべきと主張しているので、まだ不透明だが最終的に消費者が全額を負担する可能性がありそうだ。仮に減免が認められても、その額は全体の3分の1程度であり、一部消費者はたちまち数十万円の電気料金を支払うことになる。

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