最近、欧米企業によって人工衛星が次々と宇宙に打ち上げられている。その主な目的は、衛星ナビゲーションシステムの精度向上や衛星通信システムの改善、天候や気候変動の監視能力向上などだ。また現在インターネットのほとんどは、海底ケーブルなどの光ファイバーと末端のWi−Fiで接続されているが、人工衛星を使えばいまだネットに繋がっていない広範囲をカバーできる。

 だが同時に、地上からのサイバー攻撃の危険性も指摘されており、まだ大きな実害はないが、すでに以前から事例は起きている(下表)。衛星を停止させられたり、不正操作されることで、地上のインフラなどにも影響を及ぼしかねない。

(出所)筆者取材を基にウェッジ作成 写真を拡大

 最近懸念されているのは、小型の人工衛星だ。大量に宇宙空間に溢れかえることでコントロールも大変になる。また使われる機器のサプライチェーン企業が狙われ、攻撃者らがそこを足がかりに人工衛星への攻撃を狙っている。

 衛星によって実用化されたGPS技術も、サイバー攻撃に晒されている。妨害電波やハッキングによって飛行機や船舶、インフラ機器などを混乱させたり、時計をずらして地上で混乱を起こすこともある。

 さらには衛星の軌道を不正操作して別の衛星に衝突するように仕向けたり、宇宙ステーションを襲うような事態も懸念されている。そんなSF映画のような攻撃が現実に可能なのか。欧米の専門家らによれば、地上から人工衛星と通信する制御システムをサイバー攻撃したり、高出力のアンテナなどを使えば、直接、人工衛星を攻撃することも可能だという。

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