(宮前 耕也:SMBC日興証券(株)日本担当シニアエコノミスト)
約50年ぶりの低水準だった百貨店売上高
個人消費の動向をいち早く捉えられる指標としては、3つの業界団体が公表する販売統計が役に立ちます。「百貨店売上高」「スーパー売上高」そして「コンビニ売上高」の各販売統計は、翌月の下旬頃に相次いで発表されます。これら3つの販売統計から判断すると、個人消費は緊急事態宣言が発令された4月頃を底として回復へ向かいましたが、7月にいったん落ち込んだということが分かります。
憲政史上最長を記録した第2次安倍晋三政権の原動力となったのは経済だった。前例のない金融緩和政策を打ち出して雇用は劇的に改善、中国や韓国に対しても主張する外交を実現させた。金融政策を重視する「リフレ派」の論客、上武大教授の田中秀臣氏は緊急寄稿で「ポスト安倍」の条件を挙げる。菅義偉官房長官や岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長らが浮上するが、安倍路線を継承せず、「金融引き締め」「財政緊縮」に転じる人物が後継になった場合、日本は再び停滞すると危惧する。
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7年8カ月続いた安倍政権がついに終わる。安倍政権の経済政策といえば、アベノミクスだ。アベノミクスは、大胆な金融緩和、機動的な財政政策、そして成長戦略で構成される。特に安倍首相がここまで長期政権を維持できた大きなキーポイントは、「大胆な金融緩和」に尽きる。
(宮前 耕也:SMBC日興証券(株)日本担当シニアエコノミスト)
個人消費の動向をいち早く捉えられる指標としては、3つの業界団体が公表する販売統計が役に立ちます。「百貨店売上高」「スーパー売上高」そして「コンビニ売上高」の各販売統計は、翌月の下旬頃に相次いで発表されます。これら3つの販売統計から判断すると、個人消費は緊急事態宣言が発令された4月頃を底として回復へ向かいましたが、7月にいったん落ち込んだということが分かります。
今年の初めから始まった米国の大統領選挙であるが、新型コロナウィルスの感染拡大でそれどころではないという雰囲気も一時あったが、ここにきて、民主党の党大会がオンラインで開催され、正式にカマラ・ハリスが黒人女性初の副大統領候補に決定され、いよいよ11月の投開票に向け、大統領選挙の論戦が本格化することになった。論戦の主な議題は、経済、人種問題、新型コロナウィルス対策等、国内の諸問題に集中するだろうが、それでも、外交問題を無視するわけには行かない。二国間問題で最も注視されるのは、現在進行形の米中対立である。
8月14日付のウォール・ストリート・ジャーナル紙は、社説で、米中の戦略的競争において、台湾が中心的課題であり、向こう4年以内に事態が緊張する可能性があるとして、両大統領候補に台湾への対応について具体的に説明することを求めている。
米国の次期大統領が直面する最大の安全保障上の課題は、経済、技術、外交、軍事で米国の優位性を脅かすまでに台頭し、国際社会の秩序と制度を一方的に自国に有利な形で再構築しようと試みる、中国に対する政策である。この意味で、中国が英国との合意を無視する形で自由と民主主義を踏みにじってコントロール下に置こうとする香港を台湾の明日の姿になぞり、次期大統領候補に台湾への対応、換言すれば対中政策を明示するように、両大統領候補に迫る意味がある社説である。