南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領と、台湾の李登輝元総統。国内の深刻な対立を融和へと導き、民主化を果たした二人の指導者の共通点とは――? 李登輝さんの日本人秘書である早川友久さんが解き明かします。

1993年7月、当時南アフリカ最大の野党だったアフリカ民族会議の主席として台湾を訪問したマンデラをもてなす李登輝【写真提供:財団法人李登輝基金会】 写真を拡大

 

 4年に一度のラグビーワールドカップ開幕が目前に迫った。日本で、そしてアジアでも初めての開催である。そんな矢先、日本ではほとんど報じられなかったがある人物の訃報が報じられた。1995年、第3回ワールドカップで南アフリカ代表として出場したチェスター・ウィリアムズ氏が49歳で急逝した、というものだった。

 彼の名を特に記憶していたのには理由がある。95年当時、高校生だった私もまた楕円球を追いかける毎日を送っていた。テレビ中継とはいえ、世界最高レベルの試合を目にできる機会はまたとない。そのため、時差の関係でほぼ全ての試合が真夜中の放送であっても、文字通りかじりつくかのごとく、全中継をこの目で見ていたのだ。

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