富士山の全貌を把握するには、登山するよりも、なるべく遠く離れて眺めたほうがよい。日本企業の特殊性や異質性を知るには、海外の日系企業、しかも日本人が経営に当たっている日系企業を見たほうがよい。日本企業がもつ性質と企業を取り巻く経営環境とのコントラスト(ミスマッチ)は眩しいほど鮮烈である。

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海外日系企業に共通する問題点

 私は仕事の関係で中国やベトナム、アジアの日系企業との接点が多く、考察する機会に恵まれた。この20年近くの実務から一言で総括すると、アジアの日系企業が抱えている経営上の問題点や課題は驚くほど酷似している。

 最近、企業のヒアリングをしていると、責任者から聞かされる内容は、どこもかしこも似たようなもので、冒頭部分を聞いただけで結末や全貌がすぐに分かってしまう。私は決して特別に賢い人でも何でもない。数百通りの類似ストーリーを聞かされると、誰でも帰納法のスイッチが入り、私と同じような状況になるだろう。

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