地域ごとに異なる「ちまき」は、日本でいつ頃根付いたのだろうか。

(矢原徹一:九州大学大学院理学研究院教授)

 いよいよ令和の時代が始まりました。新しい時代を迎えるにあたり、令和の典拠となった万葉集の時代を振り返ってみたいと思います。

 万葉集には舒明天皇即位(629年)から759年までの131年間の歌が収められています。この131年間は、日本という国が大転換を遂げた時代でした。この時代は、維新後の明治、そして第2次大戦後の昭和に匹敵する、レジームシフトの時代だったのです。

 私の考えでは、3つの画期的な変化が起きました。その3つとは何でしょうか? 日本の文化や社会制度の歴史を調べてみると、この3つの変化にたどり着きます。それは何かを考えながら、この記事を読んでください。

ちまきのルーツ

 まずは端午の節句(5月5日)に使われる和菓子、「ちまき」の話から始めましょう。

「ちまき」という食品名は誰しも知っていますが、その実態は実は地方によってさまざまです。正月のお雑煮と同様に地方色豊かな食品、それが「ちまき」です。

 関東以北では、もち米で作った三角形のおにぎりをササの葉で包んだものを「ちまき」と言います。一方、関西では円錐状の団子をササの葉で包んだものを「ちまき」と言います。また鹿児島では、灰汁(あく)に漬け込んだもち米を竹皮で包み、灰汁で炊き上げた「あく巻」のことを「ちまき」と言います。

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