★【正論】内部をむしばむ国民の深い諦め 評論家・西尾幹二 [1)憂 国]
≪深刻さを増す組織の機能麻痺≫
スポーツ界の昨今の組織の機能麻痺(まひ)は日本相撲協会の横綱審議委員会の不作為に始まった。横綱の見苦しい張り手や変化、酒席での後輩への暴行、相次ぐ連続休場。その横綱の品位を認め、人格を保証したのが横綱審議委員会なのだから、彼らも責任を取らなければならないのに、誰もやめない。
モンゴル人力士の制限の必要、年間6場所制の無理、ガチンコ相撲を少し緩める大人の対応をしなければけが人続出となる-素人にも分かる目の前の問題を解決せず、臭い物に蓋をして組織の奥の方で権力をたらい回ししている。
そう思いつつファンは白けきっていると、日大アメフト問題、レスリングのパワハラ問題、アマチュアボクシングの会長問題、そして18歳の女子選手による日本体操協会の内部告発と来た。止(とど)まる所を知らない。各組織の内部が崩壊している。
法制化の意義・・国旗国歌法制定で、日教組などの国旗国歌反対運動は根拠を失い、沈静化していった
【産経抄】9月8日
憲法を改正し、自衛隊を憲法条文に明記すべきだとの考えは、何も安倍晋三首相の専売特許ではない。小紙(当時はサンケイ新聞)の昭和56年元日付の「年頭の主張」は訴えた。「このことこそ、現下の緊急にして最重要の政治案件である」。37年以上前から一貫している。
▼「自衛隊の正当性を明確化すべきだ」。安倍首相は、6日に放送されたインターネットのDHCテレビ番組で強調した。問題意識は「年頭の主張」の次の指摘と通底する。「自衛隊が(中略)条文解釈と、法の欺瞞(ぎまん)的運用によって辛うじて存立している」。
▼一方、共産党の志位和夫委員長はこんな立場を示す。「自衛隊が憲法違反なのは明瞭だ。(中略)大規模災害など必要に迫られた場合には活用するのは当然だ」(平成28年6月の日本記者クラブ主催の党首討論会)。違憲だが、存在するから使うというご都合主義である。
▼自衛隊は現在、6日未明に最大震度7の地震が発生した北海道で、懸命の救助・支援活動に当たっている。北朝鮮情勢も今後、何が起こるか分からない。国民を守る自衛隊を、曖昧な地位に置き続けることにどんな道理があろうか。
▼8月には埼玉県の共産党市議らが、子供用迷彩服の試着体験などの自衛隊イベントを中止させたり、自衛隊の航空ショーの中止を求めたりもした。自衛隊が憲法に位置づけられれば、こんな差別的ともいえる嫌がらせ行為も影を潜めよう。
▼日章旗を国旗に、君が代を国歌に定めた11年の国旗国歌法制定時には、「今までも国旗、国歌として扱われてきたのだから法制化は必要ない」との消極論も目立った。だが、法律に明記したことで、日教組などの国旗国歌反対運動は根拠を失い、沈静化していったのだった。