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〈「ありがとう」 夜勤の廊下 逝った君〉。

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【産経抄】7月12日

 〈蓄尿瓶 洗う心は ナイチンゲール〉。現役看護師の川柳を集めた『ナース川柳看護婦七転八倒』(幻冬舎文庫)で見つけた。蓄尿瓶を洗っていると、尿が顔や手に飛び散ることがある。「これも患者さんのため」。惨めな気持ちをナイチンゲール精神で吹き飛ばす、というのだ。

 ▼入院生活を体験すれば、看護師さんの仕事がいかに大変かよくわかる。それでも、特に女性の間で人気の職業である。収入が高く、出産や育児で休職しても復職しやすい点が魅力らしい。

 ▼日本ファイナンシャル・プランナーズ協会が今年4月にまとめた「2017年小学生の将来なりたい職業」によると、男子の1位がサッカー選手だったのに対し、女子の1位は看護師だった。小学生があこがれるのは、ナイチンゲールに由来する「白衣の天使」のイメージに違いない。

 ▼神奈川県警に今月7日、逮捕された31歳の女は、どんな理由で看護師の仕事を選んだのだろう。横浜市の大口病院では平成28年、患者の中毒死が相次いでいた。女は、88歳の入院患者に消毒液を注入して殺害した容疑を認めている。「ほかに約20人の患者に入れた」とも供述している。

 ▼看護の世界では、自分の担当時間に患者が死亡することを「当たる」と表現するそうだ。〈当たらない ようにと願う 夜勤入り〉。確かに、看護師に共通する願いであろう。そうであっても、女が語る犯行動機は理解に苦しむ。「担当時間に患者が亡くなると、遺族に説明するのが面倒だった」。

 ▼〈「ありがとう」 夜勤の廊下 逝った君〉。作者は夜勤中、以前入院していた患者の霊にしばしば遭遇して、感謝の言葉をかけられることもあった。女は患者の霊に、どんな言い訳をするつもりなのか。


タグ:産経抄
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「ジョブズの再来」ともてはやされた女性起業家の虚構を暴く [1)経営・ビジネス]

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■今回の一冊■
Bad Blood
筆者 John Carreyrou
出版社 Knopf

 指先からとった一滴の血液で瞬時にさまざまな病気を検査できるテクノロジーを開発した――。こんな魅力的な触れ込みで一時は企業価値が一兆円を超えたシリコンバレーのスタートアップの嘘を暴くノンフィクションだ。小説のようなドラマチックな展開に驚きながら一気に読める。

実用化できていなかった技術

 名門スタンフォード大学を中退し19歳の若さで血液検査ベンチャー、セラノスを起業したエリザベス・ホームズは、大学の教授や大物政治家、有名ベンチャーキャピタリスト、大企業トップたちを次々と味方につける。若くて美貌と知性を兼ね備えたエリザベスは、アップルのスティーブ・ジョブズの再来ともてはやされ、テレビや雑誌などマスメディアがこぞってとりあげスターダムにのしあがる。

 

 

 

 


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