「日中関係が改善」という観測が年明けの日本で広まった。2017年末に自民党幹事長の二階俊博氏が訪中し、習近平国家主席らに歓迎されたことからの期待のようだ。
では、中国側の対日政策は実際に変わったのだろうか。
答えは明確なノーだといえる。中国側は対日政策の根底は変えないまま、外交戦術として仮初めの微笑をみせているにすぎない。日本側は警戒を怠ってはならないのだ。
?
?
昭和55年7月、直木賞の選考会で、委員になったばかりの山口瞳さんはあせっていた。「明らかに私より小説が上手」と認める作家が、落選しそうだ。「向田邦子は、もう51歳なんですよ。そんなに長くは生きられないですよ」。
▼山口さんの口からとっさに出た一言は、かなり効果があったらしい。向田さんの受賞が決まった。山口さんがエッセーで明かしている。今回の芥川賞に決まった若竹千佐子さんは63歳、史上2番目の高齢者受賞となった。といっても、選考会で年齢はまったく議論にならなかったという。
▼受賞作の『おらおらでひとりいぐも』は74歳で1人暮らしをしている桃子さんが主人公である。東北から上京して夫と出会い、2人の子供を育て上げ、やがて夫を看取(みと)る。読者に女の人生を語っているようで、実は人類の歴史をたどる旅にも誘う。東北弁と標準語の地の文が複雑にからみあう、デビュー作とは思えない完成度である。
▼岩手県出身の若竹さんは、8年前に夫を亡くしてから、小説講座に通い始めた。何かを究めるのに年齢は関係ない。銀行退職を機にパソコンを始めた女性が、81歳でゲームアプリを開発して話題になった。89歳のアマチュア写真家の作品が海外から注目されている。シニアの活躍がめざましい世相を反映しているようだ。
▼向田さんは、直木賞受賞の翌年、台湾旅行中に事故死する。山口さんは「自分の死期を知っていたように思われてならない」と書いた。作品を読み返すと、急(せ)き込むような気迫と緊迫感にあふれているからだ。
▼「テーマをつかむのに、私には63年という時間が必要だった。小説の神様は待っていてくれた」。若竹さんが受賞について語っている。何と幸せな作家だろう。
就職活動を進めると、どうしても企業のいい所ばかり目に入ってしまいます。たとえば、業界トップクラスの初任給や充実した研修制度などに、つい目がいってしまうのは当然です。なかでも、最初にいいなと思った会社ほど、肯定的に捉えがちになってしまうので要注意です。
企業は自社の強みを理解してもらうためにさまざまな工夫を凝らしています。採用広報解禁の3月から一斉に各社の活動がスタートしますが、短い時間のなかで、自社の一番の“ウリ”の部分を認識してもらいたいと考えています。
一方、弱みはあまり触れられたくないのが正直なところ。時間を割いて説明することはほとんどありません。
ただ、企業の強みだけでなく、課題として捉えている点を見つけておくことはとても大切です。強み、弱みを理解していると、その企業で本当に働きたいのか、目指すべき方向を見つけやすくなります。
NHKでは現在、放送センターの建て替えや超高精細映像の4K・8K放送の開始を控えているほか、テレビと同じ番組をインターネットで流す「常時同時配信」も目指しており、巨額の投資が見込まれている。
こうした状況下、昨年12月の最高裁判決で「合憲」のお墨付きを得た受信料制度について、NHKは平成30~32年度の次期経営計画でテレビ設置月の受信料を無料にするなどの減免措置を盛り込む一方、一律の値下げは見送った。受信料の額は現行を維持しつつ、受信料徴収に対する視聴者の不満抑止を図るため、受信料収入への影響が小規模にとどまる減免措置を採用した格好だ。
NHKは16日、平成30~32年度の次期経営計画を発表した。NHK経営委員会が同日、議決した。インターネットを活用した「“公共メディア”への進化」を掲げ、3年間で総額170億円程度の受信料の減免措置の実施を盛り込んだが、一律値下げは見送った。若者を中心にテレビ離れが進む中、識者からは「社会的合意は得られない内容」との厳しい意見も出ている。
「NHKの肥大化につながる」と懸念の声がある中、経営計画では、ニュースや番組を放送と同時にネット配信することについて積極的に実施すると明記。超高精細の4K・8Kによる実用放送が今年12月に始まることを受け、大河ドラマ(31年)、連続テレビ小説(32年)でも4K放送を提供する。2020年の東京五輪・パラリンピックでは人工知能(AI)の活用などを通じて新たな視聴体験を提供するとしている。
NHKが次期経営計画で、インターネットを活用した「公共メディア」への進化をうたった。
その前にやるべきことを忘れていないか。受信料収入にあぐらをかき、組織改革をおろそかにしたまま肥大化する「進化」は願い下げだ。
計画は、東京五輪・パラリンピックがある2020年度まで3カ年にわたるものだ。焦点だった受信料の値下げは見送り、学生への一部減免措置などで済ませた格好である。
超高精細の4K・8Kといった新技術の放送に資金が要るという。受信料収入は過去最高を更新し、多額の余剰金がある。集めた金は使い放題という態度では「公共」を名乗る組織に値しまい。
NHKは、平成16年に発覚したチーフプロデューサーによる巨額の制作費着服事件をはじめ、ずさんな経営体質を露呈する不祥事が相次いだ。
言論とは、報道とは何だろうか。新聞記事は、いったい何を伝えようとしているのだろうか。近年、以前は特に疑問に思わなかったこんな「初歩的」なことに迷うようになった。
膨大な記事の意味は
例えば、朝日新聞が『徹底検証「森友・加計事件」朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』の著者で、文芸評論家の小川榮太郎氏らを相手取り、計5千万円の損害賠償訴訟を起こした件に関してである。
この問題については、昨年12月30日付の当欄でも取り上げたが、その後、小川氏らに送られてきた訴状に次のように記されていることを知り、目を疑った。
「日中関係が改善」という観測が年明けの日本で広まった。2017年末に自民党幹事長の二階俊博氏が訪中し、習近平国家主席らに歓迎されたことからの期待のようだ。
では、中国側の対日政策は実際に変わったのだろうか。
答えは明確なノーだといえる。中国側は対日政策の根底は変えないまま、外交戦術として仮初めの微笑をみせているにすぎない。日本側は警戒を怠ってはならないのだ。
?
?