【編集者のおすすめ】武力衝突以上に深刻な局面も 『米朝密約 なぜいま憲法改正、核装備か』日高義樹著
「米国が朝鮮の地に核戦争の雲をもたらすならば、アメリカを地球上から跡形もなくぶっ飛ばしてやる」
新型ICBM・火星15型の発射実験成功を祝う式典で、北朝鮮幹部はこう煽(あお)った。一方、米国は北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定。トランプ大統領も「いずれ北朝鮮を炎と激怒で完全に破壊しなくては-」と最後通告を放つ。
今月、史上最大の米韓軍事演習が始まるなど、緊張は最大限だが決戦の火蓋は切られない。果たしてなぜか? その疑問に応えるのが本書だ。
日高氏が指摘するのは、完全な核保有国となった北朝鮮の実態と、阻止できぬまま今に至った米国の弱体化だ。経済制裁下でも北朝鮮は発展を遂げ、武器市場でも暗躍。逆に後ろ盾だった中国が北朝鮮に依存しているという。
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北朝鮮を利してどうするのか 「面従腹背」を地で行く前川喜平氏に慄然 12月9日
【産経抄】北朝鮮を利してどうするのか 「面従腹背」を地で行く前川喜平氏に慄然 12月9日
自らの座右の銘、「面従腹背」を地で行く姿に慄然(りつぜん)とする。時の政権に逆らわず文部科学省の事務次官まで上り詰め、高額の退職金をもらった後に「政治の判断」への批判を繰り返す前川喜平氏のことである。前川氏が最近までトップを務めていた文教行政自体が、怪しく思えてくる。
▼朝鮮学校を高校無償化の対象から外したのは違法だと、九州朝鮮中高級学校の卒業生らが国に損害賠償を求めた裁判で、前川氏が原告側に立って陳述書を裁判所に提出したことが分かった。証人尋問にも応じるのだという。
▼朝鮮学校は、北朝鮮や朝鮮総連の強い影響下にある。長年、世界を欺き国民生活を犠牲にして核・ミサイル開発を進め、拉致をはじめテロ事件を実行してきたのが北朝鮮である。国際社会が一致して制裁を実施しようというときに、北を利してどうするのか。
▼無償化は民主党政権下の平成22年に手続きが開始されたが、北朝鮮による韓国・延坪(ヨンピョン)島砲撃を受けて停止された。翌23年8月、退陣間際の菅直人首相が手続き再開を指示した際には、拉致被害者家族から「拉致問題について誤ったメッセージを送ることになる」との悲鳴が漏れた。
▼24年12月の安倍晋三政権成立で、朝鮮学校は適用外だと決着する。前川氏は不満だったようだが、だったら堂々と安倍首相に掛け合えばよかった。前川氏は学校法人加計学園の獣医学部新設の件でも、次官当時は異を唱えず、辞めてから批判するのだから始末に悪い。
▼「バレてたら次官になってなかった」。前川氏は、安全保障関連法に反対する27年9月の国会前デモに参加していたことも退任後に白状した。来年以降、小中学校で本格実施される道徳の授業では、悪い見本として教えたらどうか。