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国の「不決断」がこじらせた処理水放出、風評に立ち向かう地元漁業者の決意


国の「不決断」がこじらせた処理水放出、風評に立ち向かう地元漁業者の決意


 

地元に向けた発信を最後まで避け、政治的解決を先送りしてきた首相と政府


2023.9.15(金)新潮社フォーサイト





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福島第一原発の汚染水流出で漁業者たちの追及を受ける東京電力、経産省の対策説明会=2013年9月3日、相馬市松川浦(筆者撮影)





(文:寺島英弥)


東電福島第一原発の「処理水」放出開始から2週間あまり。政府の強引な決定や中国からの反発など逆風を受けながらも、現地の漁業従事者たちは前を向いている。


 東京電力福島第一原発の構内で生じる汚染水の「処理水」(ALPS処理水・処理途上分も含めタンクに約134万トン)の海洋放出が8月24日に始まった。東電が「30年程度」という間、海水で希釈して福島県浜通りの原発沖に流し続ける。放出後の監視検査で海水、魚ともトリチウム濃度は「検出限界値(1リットル当たり10ベクレル程度)未満」で推移しているが、放出に反対する中国による日本の水産物輸入禁止が国内に影響を広げ、「風評」の実害も報じられている。福島県浜通り・相馬の漁協組合長は「問題を何年も先延ばしにし、最後も当事者を置き去りにした」と国の姿勢を憤りながら、世代を超えた新たな重荷を背負う覚悟で向き合う。何が問題だったのか? 震災復興もいまだ遠い被災地の浜から報告する。


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