4月25日付の米ワシントン・ポスト紙で、同紙コラムニストのデイヴィッド・イグネイシャスが、「韓国と米国のパートナーシップは画期的な成功である。われわれはそれを持続させる必要がある」との論説を書いている。

(dvids)

 バイデン大統領は今週韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領を国賓として迎え、韓国が米国の保護のもと経済成長を遂げた成功物語を祝う。だが現在、米国の核の傘の整備の必要性や、インド太平洋での米国の力の将来についての問題がある。米国の核を含む戦力で同盟国を守る「拡大抑止」への韓国の信頼を強化するため、バイデンは核兵器を配備し、その使用について協議すると約束するだろう。これに応え、尹は核不拡散条約への韓国の支持を再確認するだろう。

 昨年のある世論調査では、韓国人の71%が韓国の核兵器開発を望んでいる。尹自身、今年初めに北朝鮮を抑止する米国の能力に疑問を表明したようだった。1月に尹は、「韓国は戦術核兵器を導入するか、韓国自身で作るかだ」と述べた。

 

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<以下抜粋>

 

冷戦期にも揺らいだ「核の傘」

 1970年代末期にソ連は核兵器を搭載するSS-20という中距離弾道ミサイルを配備したこの兵器は米国には届かないもので、それが例えば西ドイツに打ち込まれた場合、米国は戦略核でニューヨーク、ワシントンが攻撃対象になる可能性があるのに、ソ連に反撃できるのかということが問題にされた。

 西ドイツの当時の首相シュミットは、米国が西ドイツの都市を守るためにニューヨークを犠牲にするとは考えられない、米欧の安全保障はデカップリングされると騒いだ。その結果、米国は欧州に核搭載巡航ミサイルと弾道ミサイル「パーシング2」を配備し、シュミットの不安を宥めたことがあった。

 中距離核戦力(INF)の全廃条約は、ロシアが廃棄し、存在しない。中国のINFは増加の一途である。そういう状況を踏まえて深く考えてみる必要がある。

 北朝鮮が米国に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)の完成に力を入れているのは、米国の都市を攻撃する能力を持てば米国を抑止できるとのシュミットが言ったデカップリングを考えているのではないかと思うそういう事にはならないことを今から明らかにしておくことは重要である。

 

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