日本と中国の国交正常化から50年を迎えた。岸田文雄首相と中国の習近平国家主席は9月29日に祝電を交換したものの、経団連などが開いた記念行事に岸田首相が出席せず、中国側の記念式典も5年前より実質的な格下げした会場での開催となった。米国のペロシ下院議長の訪問に端を発した台湾周辺の緊張状態など日中関係の冷え込みが影響しているとみられる。
 日本は中国とどう付き合っていくべきか。さまざまな課題や対応策が取り沙汰されているが、中国共産党の本質を見ない限りは解を見出すことは難しい。そのためには、天安門事件が起きた1989年にさかのぼることが必要だ。
 そこで、2022年7月19日に本サイトで掲載した記事を再掲する。

 日中両国は9月29日に国交正常化50周年を迎える。8月2~3日、ペロシ米下院議長の台湾訪問に激怒した習近平国家主席は弾道ミサイルを次々発射し、うち5発を日本の排他的経済水域(EEZ)内に着弾させ、対日威嚇を強めた。

中国の学生や若者が民主化へ動き、弾圧された1989年の天安門事件。日本はこの時に中国共産党を見誤ったと言える(AP/アフロ)

 日中高官は8月17日、天津で7時間にわたり協議したが、緊張はなお続く。友好と対立が交錯した50年間の日中関係の「分水嶺」はどこかと尋ねられれば、共産党が存亡の危機に瀕した1989年の天安門事件での日本政府の対中政策だろう。日本政府はあの時、一党独裁体制の維持のためには人民の流血も厭わない共産党の本質を見誤ったのではないか。

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