『大日本歴史錦絵』より「川中島大合戦之図」

(歴史家:乃至政彦)

決戦は両雄の宿命

 とりあえず、真否未詳の通説を話の主軸に置いて述べていこう。

 北信濃の海津城(貝津城。現・松代城址)は武田信玄が取り立てた平城である。

 川中島一帯の支配力を強めるため、築城したというが、その狙いは北の越後にある上杉謙信に対する備えであった。

 信玄と謙信はもう何年も信濃の地をめぐって衝突を繰り返してきた。そのたびにお互いが領有権を主張するかのように、旭山城、葛山城を取り立て、和睦して破却するなどしてきた。

>>続きを読む