神奈川県の逗子は三浦半島の付け根にあり、首都圏に最も近い海水浴場のひとつ「逗子海岸海水浴場」を擁する風光明媚な土地柄である。御用邸がある葉山の玄関口に当たることから、古くから別荘地としても栄えてきた。その拠点である逗子駅前で100年近くにわたって営業を続けてきた老舗タクシー会社がある。「逗子菊池タクシー」。創業は1923年(大正12年)で当初はトラック運送を手がけていたが、全国で続々とハイヤー(タクシー)会社が誕生する中で、逗子でのハイヤー事業に乗り出した。
「会社が長く続いたのは、良いお客さまに恵まれた土地柄だったことが大きいと思います」と3代目の菊池尚社長は言う。戦前から、逗子や鎌倉に邸宅を構えて国鉄(現JR)で東京に通っていた富裕層が多く存在した。逗子駅とお宅の送り迎えという仕事が創業当初からあったのだという。
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