武家政権となった鎌倉の地。海に面し、三方を山に囲まれている 撮影/西股 総生

(城郭・戦国史研究家:西股 総生)

鎌倉殿への道(20)幕府とは? 鎌倉殿とは?
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68126

武士たちによって推戴されるボス=「鎌倉殿」

 日本の中世〜近世の場合、武家政権のボス=征夷大将軍という図式で考えるかぎり、征夷大将軍が率いる武家政権=幕府になる。全体とするなら、この図式で説明した方が、わかりやすい。

 ただし、政権の成立期については、必ずしもこの図式が当てはまらない。権力というものは、ある日突然、ぽこんと爆誕するわけではないからだ。『鎌倉殿への道』の連載を読んできた方はおわかりだろうが、新しい権力は、いろいろな出来事をへながら少しずつ形づくられるものである。

 鎌倉幕府の場合だと、頼朝が鎌倉殿となったのは1180年(治承4)12月のこと。この時点で、南関東一円と北関東の一部を勢力圏とする事実上の軍事政権が成立していた、と見ることができる。

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