農林水産省が、8月に2020年度の食料自給率を公表した。「カロリーベース」の総合食料自給率は、1ポイント下がって37%と過去最低になり、生産額ベースの総合自給率は、1ポイント上がって67%という内容だ。

 「自給率の計算式」は、どの自給率にも共通で、<生産>÷<消費>x100であるが、① 分子<生産>、分母<消費>ともに変動する、②<生産>には「輸出向けの生産」が含まれるということを押さえておく。その上で、この「カロリーベース食料総合自給率」が農政の目標足りうるかを検証することにしたい。

(zepp1969/gettyimages)

「過去最低」 数字よりも内容の吟味を

 各種報道では、カロリーベース総合食料自給率は「過去最低の37%」が強調され、生産額べースでの上昇はほぼ無視である。新聞の投書欄などにも「深刻な状況、米132%、独86%、英65%に比べて低すぎる … 私たちが国産品をもっと食べることが国内農業を守り、自給率を上げることにつながる …」との主張も見られた。

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