第205臨時国会で所信表明演説する岸田首相(資料写真、2021年10月8日、写真:Motoo Naka/アフロ)

(北村 淳:軍事社会学者)

 岸田文雄首相が就任早々実施したアメリカのバイデン大統領との電話会談で「尖閣諸島は日米安保条約第5条の適用対象である」との明言を得たことを日本政府は公表した。

 日本で新政権が発足した際に、ならびにアメリカにおいて政権が交代した際に、日本の首相をはじめとする政府首脳がアメリカ大統領や高官たちに口にしてもらう“儀式”がまたもや繰り返されたのである。

外交儀礼としての対日防衛コミットメント

 これまで、オバマ政権もトランプ政権も、上記のような尖閣諸島と日米安保第5条に関するアメリカ政府の立場を公言してきた。オバマ政権下ではクリントン国務長官、パネッタ国防長官、ヘーゲル国防長官、ケリー国務長官、そしてオバマ大統領自身が安倍首相に対して、トランプ政権下ではティラーソン国務長官、マティス国防長官、そしてトランプ大統領自身が安倍首相に対して言明した。バイデン氏は大統領就任前に菅首相に対して、さらに大統領として菅首相に、ならびに岸田首相に対して同様に言明した。

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