東京・墨田区のワクチン接種センターで注射器にワクチンを充填する医療従事者たち(写真:AP/アフロ)

(真鍋雅史・嘉悦大学教授)

*本稿は、「パンデミックと日本社会」研究プロジェクトの研究成果の一部である。プロジェクトメンバーは、竹中平蔵(慶應義塾大学名誉教授)、真鍋雅史(嘉悦大学)、浅野竜一(株式会社ZOAS)、鈴木崇弘(城西国際大学)、土屋貴裕(京都先端科学大学)、跡田直澄(京都先端科学大学教授)である。また、本稿の作成にあたっては多くの方々から助言を得ている。記して感謝したい。

医療崩壊の元凶は「厚生ムラ」の独占構造

 2019年末に中国湖北省武漢市で発生が確認された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、1年半以上経過した現在においても、依然として、世界中に多大な損害を与えている。このような中、我が国の病床はG7最大の数を誇り、感染者数もG7で最も少ない水準に抑えている。加えて、ワクチン接種については、9月15日現在、中国、インド、アメリカ、ブラジルに次いで世界5位の接種回数を誇り、ワクチン接種を完了した割合も日本は52%で、アメリカ(53%)とほぼ同等である。この割合が25%を超えたのが、アメリカは4月18日、我が国が7月22日であることを考えれば、我が国政府は驚異的な速度の接種体制整備に成功したといってよい。

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