中国の海上民兵と思われる220隻に上る船舶が3月上旬からほぼ一ヶ月の間、南沙諸島のウィットサン礁に集結した。これに対してフィリピン政府は珍しく強く抗議した。

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 ウィットサン礁はフィリピンの沿岸から200海里以内の排他的経済水域内(フィリピン本土から320キロ、中国から1060キロ)に位置し、フィリピンが領有権を主張してきた。これに対し、中国は南シナ海のほぼ全域に対する権利(いわゆる「九段線」)を主張する。2016年にフィリピンの提訴を受け、海洋法条約に基づく仲裁裁判所は、中国の「九段線」の主張を否認している。しかし、フィリピンのドゥテルテ大統領は、この問題で中国と対決することを避け、曖昧な態度をとってきた。

 今回、ドゥテルテ政権は、これまでとは異なる反応を見せた。3月21日、ロレンザーナ国防相は220隻の中国の船が「我々の主権的領域」から出るよう要求した。その2週間後、同国防相は中国が「国際法を全く無視している」と批判した。ロクシン外相は、中国の「見え透いた虚偽」を強烈に非難した。さらに、4月19日にはドゥテルテ大統領自身が、南シナ海における石油や鉱物資源の領有権を主張するために軍艦を派遣する用意ある旨を述べた。

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