(MrJub/gettyimages)

 昨年10月に菅義偉首相により発表された2050年温室効果ガス実質排出ゼロ宣言を受け、マスメディアでは、「脱炭素」「グリーンイノベーション」に関する記事があふれた。脱炭素バブルと呼び3000兆円の世界中の環境関連投資資金の奪い合いがあるかのような書きぶりの記事もあり、投資先として環境関連有力銘柄を取り上げる記事もあった。

 首相がネットゼロを宣言し、政府がグリーンイノベーションを梃に経済成長を図る方針を明らかにすることにより、世界中から資金が集まり日本の脱炭素ビジネスが伸びるのであれば望ましいが、話はそう簡単ではない。その最大の理由は、バイデン政権の米国、コロナ禍からの復活予算の多くを脱炭素につぎ込む欧州委員会、再生可能エネルギー設備、電気自動車などで世界の工場を狙っている中国との競争に勝つ必要があるからだ。日本とは桁違いの巨額の資金を用意している国、地域との激しい競争だ。

 もう一つ問題がある。目標と実行の乖離だ。『50兆円超の環境関連新規市場』、『140万人の環境分野の新規雇用』。昨年12月25日に発表された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の目標と言っても、多くの人は違和感なく信じると思うが、これは2010年6月に当時の民主党政権により発表された「新成長戦略(基本方針)~輝きのある日本へ~」中の「強みを活かす成長分野」の筆頭にあげられた「グリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略」の2020年までの目標だ。何一つ実現していない。

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