2020年5月、中国政府主催でメディアに公開された工場 (AFP/AFLO)

 「自由世界が中国共産党を変えなければ、我々が彼らに変えられてしまう」。2020年7月23日、米国のポンペオ国務長官、レイ連邦捜査局(FBI)長官ら4人は中国共産党の体制を変えさせる趣旨の演説を行った。米国は、米ソ冷戦では共産主義の拡張の勢いを削ぐために、ソ連国内での共産勢力の弱体化や、衛星国の共産化を防ぐ介入を行った。だが、ソ連の共産体制の変更までは目標にせず、共産体制VS.自由民主主義による繁栄手段の正当性を問う競争を選んだ。

 だが、今回は違う。米国は中国の共産党体制の変更を目標に据えたことで、45年続いた米ソよりも冷戦が長期化する恐れが高まったのである。

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 無論、中国も黙っていない。中国は10月17日、攻撃的な輸出管理法を制定し(右表)、20年12月から施行した。日本企業の輸出管理サポートを行う安全保障貿易情報センター(CISTEC)は10月19日、重大な懸念として「中国の現地拠点、工場、研究機関等に出向あるいは現地採用されている日本人が日常的な技術情報のやり取りやデータへのアクセスが許可対象となる恐れがある」と表明。これは、中国が米国同様の制度を打ち出し、米中デカップリング(分断)が不可欠な状態を自ら確定させたことを意味する。

 

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