岩村城(岐阜県)の城下町。向こうに見える山の上に城があった。近年、NHKの朝ドラでもロケに使われた城下町には、おいしいお酒やお菓子にも事欠かない。撮影/西股 総生(以下同)

(城郭・戦国史研究家:西股 総生)

城のことはよく知らないのだけれど、ちょっと気になる。
どこをどう見たら面白いのか、よくわからない。
そんなはじめて城に興味を持った人や、もっとよく知りたい人へ、
城の見方、楽しさを伝える書籍『1からわかる日本の城』。
専門用語や歴史の解説ばかりでない、見分けるコツが書かれた本は、「今までになかった」と、城マニアからも注目されています。
今回はその中から知っているようで知らない、城の話をご紹介します。

 

城の外側に広がるエリア

 本丸・二ノ丸・三ノ丸といった城の本体に対して、外の方にある広い曲輪を外郭(がいかく)とか外構(そとがまえ)などといいます。野球にたとえるなら、本塁~3塁がある内野に対する、外野です(塁はもともと砦の意味)。

 城の外郭には、いくつかの役割があります。まず、家臣や城兵たちの居住スペースを確保すること。城の本体を、守りやすく戦闘本位に設計すると、どうしても曲輪の中が窮屈になります。そこで、家臣の屋敷地や城兵たちの長屋などを置くスペースが、別に必要になるわけです。

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