北京で行われた中国共産党第19期中央委員会第5回全体会議(五中全会)(写真:新華社/アフロ)

(福島 香織:ジャーナリスト)

 米大統領選の結果をふまえた原稿を書くにはちょっと締め切り時間が微妙なのだが、中国・習近平政権は米大統領選挙の結果に関係なく、対米強硬路線維持で共産党の重要会議「五中全会」(中国共産党第19期中央委員会第5回全体会議、10月26~29日開催)を終えた。8月ごろまでは、新型コロナ肺炎のインパクトで、トランプ不利、バイデン優勢とみて、対米融和のサインを出していたが、その後、党内でトランプ優勢という見方が持ち上がり、再調整して最終的には対米強硬路線維持で固まった。

 いずれにしろ、10月以降に表沙汰になったバイデン親子や民主党主要議員と中国のエネルギー会社「華信能源」(すでに破産解体)などの利益供与スキャンダルのせいで、たとえバイデンが大統領になっても、中国側にとってバイデンを操るスキャンダルカードの効果は事実上消滅したことになる。スキャンダルはいったん表沙汰になってしまえば、効果が失われるのだ。なので、誰が大統領になろうとも、米中融和は当面難しいという判断は正しいだろう。

>>続きを読む