新型コロナウイルスへの対策を検討する「専門家会議」を政府が突如として廃止し、「分科会」へと変更した。この突然の決定もさることながら、政府の専門家会議のメンバーは、当初、感染症の専門家ばかりだった。

(出所)内閣府の景気動向指数CI一致指数を基にウェッジ作成

 当時は、感染症の経済的、社会的影響を考えていなかったので当然だったのだろうが、外出自粛を呼びかければ当然経済的、社会的影響がある。しかも、それは数十兆円にも及ぶものだと分かったのだから、委員や対策の在り方も変えなければならない。

 政府の人材選定経緯が分からないのは、コロナ対策だけではない。国民の税金を使って国の大事な事業を担う人材の選定に〝オーディション〟がない日本の不思議さを考えてみたい。

 オーディションは、舞台の役者を決めることから始まった。ブロードウェイミュージカルに、オーディションの模様を描いた「コーラスライン」という傑作もある。必要な人材を広い範囲から集め、公平な選抜で優れた舞台を作るためのものだ。もちろん、きれいごとだけでなく、実際には、コネも名声も影響するのだろう。しかし、一応は公平に選ぶという形を作れば、それほど外れたことはできなくなる。

>>続きを読む