旧ソ連時代に開発された猛毒、「ノビチョク」がまたもテロに使用された。ロシアの反政府指導者が航空機内で苦しみだし、体内から同系統の毒物が検出された。

 ここ数年、ロシア当局の関与が疑われる同様の事件が相次いでいるが、前世紀から、その手口、手段はいずれも荒っぽいものばかりだった。薬物、放射性物質、毒を塗った〝仕込み傘〟……。

 スパイ小説を彷彿とさせるほど〝多彩〟だ。

(AlexLinch/gettyimages)

空港で飲んだお茶に毒 

 今回、被害にあったのは反政府運動を主導してきた弁護士のアレクセイ・ナワリヌイ氏(44)。

 8月20日、シベリアのトムスクからモスクワに向かう航空機の中で、突然体調を崩し、意識を失った。英BBC放送は、近くに座っていた乗客の証言として、「離陸してから状態がどんどん悪くなった。苦痛のあまり叫びをあげていた」と伝えている。

 緊急着陸、搬送されたオムスクの病院関係者は当初、「毒物が盛られたらしいので緊急治療室にいる」と語ったが、翌日には「毒物の兆候はない。自然な中毒も考えられる」と説明を変えた。

 氏はその後、夫人の強い要求もあってドイツ・ベルリンの病院に移送された。

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