これでいいのか?戦後日本「より良き日本を取り戻そう」

ブーメランのような冷戦構造







(RolandBlunck/gettyimages)


 11月9日は、ベルリンの壁が崩壊してから30年の節目の日だった。NHKや各新聞でさまざま特集が組まれ、幾つかに目を通した。


 「東西ドイツ」と聞いてすぐに思い浮かぶのは、38年前に訪れた東ドイツ(ドイツ民主共和国)の光景と人々である。


 その時の私は駆け出しだったが、旅行雑誌に頻繁に記事を書き始めた時期なので、政府招待の記者9名の中に滑り込めたのだ。


 ガイド・通訳付きの特別バスで東ドイツの各地を回った。東ベルリン市内観光、バッハゆかりの聖トマス教会があるライプツィヒ、文豪ゲーテの旧居が残り、近代デザインの源流バウハウスがあるワイマール。そしてナウムブルグ。エアフルト、アイゼナッハ……。


 どこも静謐で古色蒼然としていた。戦前のヨーロッパに紛れ込んだような佇まい。


 だが、静謐と監視は裏表。ライプツィヒ駅でカメラを取り出したとたん、一人の男が近寄り手で制した。顔は笑顔だが両目が笑っていなかった。ベルリンの壁の前でこちら向きに銃を構えた警備兵の姿が蘇り、ゾッとした。


 シュタージ(秘密警察)に注意すべし!