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「出口なし」イラク民衆の怒りはどこへ向かうのか

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 イラクでは9月初めより、大規模な反政府デモが起こっている。政府の腐敗、無能、失業等に対する抗議である。デモは一時小康状態となったが、政府側の強硬な弾圧によって多くの死者が出ており、未だ収まる気配はない。イラクのアブドゥル・マハディ首相政権は昨年の選挙後、第1党となったシーア民族派のサドル派とイランに支持されたアミリ派(シーア派民兵組織の政党)の妥協によって生まれた政権であるが、サドル派は首相を見限り、アミリは様子見の態度を取っている。

Sviatlana Barchan/Lepusinensis/Phototreat/iStock / Getty Images Plus

 イラクでは以前にも同様なデモ、騒乱が発生したが、今回の運動はイランに支援されたシーア派民兵組織及びイランそのものにも、また、以前の民衆運動を支持したサドル師に対しても民衆の怒りが向けられている。政府においては、より強硬な鎮圧策を支持するグループ、当面首相が対応すべきとするグループ、首相退陣を予期して次の首相候補を模索するグループなどに別れている。騒乱はより過激になり、自信を持ち、大規模になりつつある。

 今回の抗議運動の大きな特色は、雇用、電力不足、腐敗というような具体的な問題への抗議というよりも(勿論、それもあるが)、サダム・フセイン以降の基本的な政治体制(シーア、スンニー、クルド3派による大政翼賛的パワーシェアリング・システム)への挑戦となっていることである。ナジャフの宗教指導者(シスターニ師)、イラン、サドルを含め、従来の権威全般に対する否定的な性格を帯びている。従って、政府側の対応は難しい。アブドゥル・マハディ首相は、後任についての合意が出来れば辞任する用意のある旨表明しているが、単なる首のすげ替えだけでは収まらない可能性がある。

 

 

 

 


タグ:イラク
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