予想を超えるスピードで香港情勢が変わろうとしている。拙稿『香港デモ終息するのか?政府が要求を飲んだ本当の理由とは?』に指摘しているように、これからの香港情勢に決定的な影響を与えるのは、米国の「香港人権・民主主義法案」だ。この法案を裏付ける基盤となる「逃亡犯条例」が撤回されたにもかかわらず、米議会での審議に向けて着々と準備が進んでいる模様だ。つまり、香港「逃亡犯条例」の撤回と米国「香港人権法案」の取り下げ、というトレードオフは成立しないわけだ。

(Oleksii Liskonih/gettyimages)

「香港人権法案」はなぜ必要か?

 「香港人権法案」の発端は香港政府の「逃亡犯条例」改正案にあり、条例の施行によって香港の自由や人権、自治が侵害され、米国を含む他国の香港における安全や利益が脅かされるから、何とかしないといけないという背景があった。

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